• 地引 由美 Yumi JIBIKI

フランソワ・エナン氏とJOVOY PARIS

最終更新: 2019年12月31日

 ニッチフレグランスブランドにとって大切なお兄さん的、いえもう、お父さん的存在かしら、フランソワ・エナン氏に初めてお会いしたのは2013年のニューヨーク。彼が JOVOY(ジョヴォワ) という1923年生まれの香水ブランドを2010年に再生してパリに50平米の店舗を開き、その後1年も経たないうちに他の10ブランドと協力して、(意外なことに)パリにはまだ存在しなかった芸術的な香水を取り扱う最初の香水専門店としての JOVOY PARIS を200平米の規模でオープンした、その2年後のこと。香水の展示会、ELEMENTS SHOWCASE のトークイベント『ニッチフレグランスの未来を考える』で聴いた、すでに多くのニッチフレグランスブランドからの信頼も厚かった彼のやや辛口のお話はとても印象深かったのです。

 蝶の髪飾りはこの展示会の出展ブランドからプレゼントして頂いたもの。まだ手元にあります。初めて行くニューヨークで、初めての香水の展示会。すべてがエキサイティングでした。


 翌2014年のパリで、二つのニッチフレグランスブランドの取材のアポを入れた時、2 ブランド共に取材場所として指定して来られたのが JOVOY PARIS でした。当時、お店の奥にあった応接スペースでお話を聞かせて頂いた後、フランソワさんにもインタビューさせて頂きました。以下、青字部分は過去のサイトにアップした取材記事です(現在は閲覧できないので再掲します)。



 お忙しい中、お呼びたてして…と言いかけたら 

「お話ししたかったけど、僕はおしゃべりだから話しだすと止まらないから邪魔してはいけないと思って」と笑いながら応じてくれました。(以下、H:エナン氏、J:地引) J:昨年ニューヨークでお会いした時、ある種のニッチフレグランスブランドに対して厳しい表現をされていたように感じました。JOVOY PARISで取り扱うブランドについては、どのような基準で選ばれているのでしょうか。 H:どういう基準というより、どういうコンディションででしょう。まず、すべてが出会いから始まる。マンツーマンで相手がどういう人なのか、この目で確かめる。個性のある人でなければ、そして、志がある人でなければ、そして美しい魂を持っていなければ話になりません。口の達者なのは腐る程いるからね。それからやはり、その香水自体の良さですね。今、90のブランドを取り扱い、1,200種類の香水を販売していますが、かぶったりするのは一つもない。独創性の無いカブりだけは避けたいですよね。名前だけは豪華で、出している香水は他のと似たり寄ったりというパターンにはうんざりしています。つまり、まずはその人の個性、そして次には当然、その香水のオリジナリティですね、結論は。 J:現在のニッチフレグランスブランドのトレンドについてはどう思われますか?

H:今、主に二つの傾向があります。一つ目はイギリス流の高品質で価格に上限を設けない香水。高価格であるということで選ぶお客も多いです。二つ目は、イタリア流と言えるかな、失われたメゾンを現代へと、復活させて市場に出すこと。



 彼はそのキャリアを通して、天然香料の質については生産の現地でその品質を体感し、1900年代初頭の香水ブランドについて自ら調査も行い、ブランドを立ち上げて製品を販売するまでの全ての流れも自身で把握されている訳です。ですから ELEMENTS SHOWCASE の『ニッチフレグランスの未来を考える』トークイベントで氏は明らかに憤慨していたのです。すでにニッチフレグランスというものがある程度の評価と地位を得て、それと同時に簡単に商売にしようとする考える人々が出て来たことに対して。「フレグランスを売り込みに来る人は多いですが、会えば何を目的にフレグランスを売ろうとしているかよくわかる。薄っぺらな人間に限って、香水の壮大な物語はコンセプトを語り、でもその香りは全くつまらないもの、なんていうことがよくあるんですよ」と。トークイベントの時と同じように明瞭な早口で語ってくれました。  そして、アテネでルカ・トゥリンさんのお話を聴きながら思い出したのは、この言葉でした。 「僕たちはまるで戦うべきアリーナを探しているグラディエーターです。最終的に生き残れるか殺されるかを決めるのは観衆、つまり、消費者です。」


H:いまだにがっかりするのは、マスマーケットの香水の寿命の短さですね。発売してから、あっという間に流行から取り残される香水が星の数ほどあって驚かされます。逆にヒットしたら、例えば eau de jour, eau de nuit などのように次々とバージョンを変えて発表する。

H:とはいえ、今の時代は面白いですね。これから3〜4年を生き残るブランドは、この先も当分存続するでしょう。移り変わりの激しい今の時代だからこそ、色々と挑戦したいですね。」


 真剣に香水に向き合い、既存のマーケティングにのらない多くのニッチブランドに取って JOVOY PARIS は香水を愛する人々に発信できる貴重なステージです。そして消費者にとってもエナン氏が選りすぐった、香りと共に belle âme =美しい魂 を持つフレグランスと出会える場です。ヴァンドーム広場からテュイルリー公園に抜けるカスティリオーヌ通りにある JOVOY PARIS 。店内のカウンターでエナン氏自身が立っているかもしれません。パリを訪れたら、ぜひ立ち寄ってみてください。



 長くなりましたが、ここまでが2014年のこと。今回、フランスに出発する前にメールをお送りしていたのですが、昨日までお返事は無く。よくあることなので(笑)結局アポ無しの状態で行き、お店の方にお電話して頂きました。この通りでランチをしていたり、立ち話をされているのをよく見ていたのできっと近くにいらっしゃるのではないかと。連絡がついたら、すぐに戻って来てくださいました。



 2階のオフィスで、エナン氏と大沢 さとり 様。なんとなくペアルックのようです。この時も最高に美しい空気が漂っていました。

 盛り沢山だったこの夜は、渡辺さんオススメのレストラン Chez Mihel へ。実は、2014年、フランソワ・エナン氏にインタビューした時に通訳をお願いした日、レミ・ビュケ氏と来たのもこのレストランでした。



 変わらずに美味しいおつまみの貝とお魚のスープとブルターニュ料理。前回トライしたフランス風おでんは量が多かったので、今回のメインはお肉に。



 デ セールまでしっかりと堪能して、ホテルに戻りました。



 テュイルリー公園では、もうクリスマスマーケットの準備をしています。




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