佐藤賢一氏の 黒王妃(集英社文庫)を読みました。香水の歴史やマナーの世界でもよく取り上げられるカトリー・ドゥ・メディシスの物語。文庫本になって手に取りやすくなったとはいえ、518ページ。お送りくださった 中野香織さまの推薦文に惹かれて、すぐにページを繰り始めました。
最近は机に座って同じ姿勢でいるのが辛いので、庭を歩きながら読み進めます。文庫本は軽くて良いですね。
鳥のさえずりを聞いて、ふとここはどこだろう、と問うほどに、黒王妃、カトリーヌのモノローグで語られる心情にグッと心を掴まれて、その時代にトリップしてしまいます。 国の破滅の危機に際して協力を募るときの彼女は 「…イタリア流といいますか、都市国家フィレンツェで大衆の人気を鷲づかみに台頭したメディチ流といいますか、とにかく私なりの流儀でした…率直に、誠実に、なおかつ毅然とした態度で、それこそ一語一語に注意しながら…それに話を具体的にすることも重要ですね…」
市井の人の感情を動かさない言葉を連発する現在のリーダー達に読んで頂きたい部分。
中野香織様による帯の推薦文、そして、解説を読み終えてから本文へと進むのもオススメです。というか、7ページの解説を読むだけでも素晴らしい学びになります。現代女性がカトリーヌから学ぶべきことはたくさん。
重要な舞台であるロワールの城の雰囲気、香りや空気感、室内の様子を思い出しながら。黒王妃の世界に夢中になりました。
Comentarios