6月のラコゼには中野香織様をゲスト講師としてお招きいたしました。服飾史家 / 著述家として数々のメディアでご活躍されているご多忙なスケジュールの中、香りのおしゃべり会にご登壇いただけたのが嬉しい限りです。これまでにも、2018年2月には『ファッション史から読み解く香水』というテーマで、歴史を紐解きながらファッションと香水の関連についてお話しいただきました。そして2020年1月にもご著書の "「イノベーター」で読むアパレル全史 – 流行を創った変革者に学ぶ – " に沿って、ファッション界とフレグランス界、それぞれにおける革新的人物やブランドにスポットを当てていただきました。そして今回は " 新ラグジュアリー -文化が生み出す経済 10の講義 " を読んでから、パンデミック後の世界の変化が凄まじい今、先に進む羅針盤としてぜひ中野香織様のお話をお聞きしたい!皆でシェアしたい、香水における今のラグジュアリーを考えたい、との気持ちからお願いしました。
" 新ラグジュアリー -文化が生み出す経済 10の講義 " で、ご自身がご執筆された項から抜粋して 1. そもそもラグジュアリーとは何か?
2. 新しいラグジュアリー 3. 日本発ラグジュアリー のパート毎にお話をお聞きします。そしてお話をお聞きしながらそのトピックに沿って選んだ香水を試香する、というのが香りのおしゃべり会の趣向です。 お話の中で特に私の印象に残ったのは ・『ラグジュアリー』は人の夢が結集された分野である 例:1960年代の宇宙開発 ⇨ 夢を叶えるためにそれまでの常識を超えていく
・『ラグジュアリー』であることの反対は? ⇨ 清貧とかではなく Vulgar(下品)
下品とはつまり、不作法なこと、自分ではないものになろうとすること。そこに陥らない為には、世の中、既存の世界に合わせよう&追いつこうとするのではなく、自分が信じる、勝てる、コンテクストを作る。
・これから経済において大切になるのは ⇨ 倫理・ローカル・ヒューマニティ
新型ラグジュアリーブランドとして注目されているイタリアのブランド、ブルネロ クチネリのフレグランスを会場の皆さまとご一緒に、特別に試香させていただきました。まだ日本に2セットしかないデビューキットのうちの一つを骨董通りのブルネロ クチネリの店舗から、中野香織様が手持ちでお運びくださったのです。オリヴィエ・クレスプによるメンズの爽やかでありながら成熟した香りのトーンも、ダフネ・ブジェが手がけたレディスの爽快で柔らかな香りも、どちらもとても素敵です。
そして、中野香織様からのリクエストで、日本発のラグジュアリーブランドとして、パルファン サトリの大沢さとり様にもお越し頂き、ご登壇いただきました。中野香織様のお話を熱心にノートを取りながら聞かれていた大沢さとり様のお話は ・香水を作ることは自分自身を出していくこと ・茶道・香道は旧型ラグジュアリーと感じる方もいらっしゃる方もいるかも、でも実は、清浄な空間や見えないところを大切にする16世紀から伝わる美徳は、新しいラグジュアリーの意識に通ずると考える。 ・伝統工芸は限られたところにしか届かないけれど、香水という世界中で普遍的に使われるもので文化とか工芸を一緒に伝えたい。日本の文化を香りを媒介にしてお伝えしたい。 ・20年香水を作ってきて、今日のお話はそれが認められたようでとても嬉しい。これからもさらにブラッシュアップしていきたい。 そして大沢さとり様からはご参加の皆さまに『SATORI』のサンプルをプレゼントしていただきました。 当日、皆で試香した香水はこちら。 ・ケルク フルール / ウビガン ⇦ 愛妾経済
・ブレナム ブーケ / ペンハリガン ⇦ 英国のダンディズム
・No.5 オー プルミエール / シャネル ⇦ シャネル(No.5 は何度も取り上げているので、モナコ公室の舞踏会のギフトのこちらを)
・リヴ ゴーシュ / イヴ サンローラン ⇦ サンローラン
・ローズ デ ヴァン / ルイ ヴィトン ⇦ LVMH ・ブルネロ クチネリ プールファム / ブルネロ クチネリ ⇦ 新型ラグジュアリー ・ブルネロ クチネリ プールオム / ブルネロ クチネリ
・サトリ / パルファン サトリ ⇦ 日本発ラグジュアリー
・ノビヤカ / パルファン サトリ
中野香織様、大沢さとり様、ご参加の皆さま、ありがとうございました。20人だけでお聞きしたのがもったいなかったです。もっともっとたくさんの方に聞いて欲しかった!
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