9月27日(木)。12時間+1時間半の空の旅を終えた私をアジャクシオ ナポレン ボナパルト空港まで迎えにきてくださった順子さん、由香さんと、ガイドのアンリさんと、トランクをピックアップしてすぐにパーキングへ。南フランスを旅行する際は必ず持ち歩いているミネラルウォーター。コルシカ島ではアンリさんがトランクの保冷バッグから取り出した、凍らせてある "St Georges"(サン ジョルジュ)のボトルを手渡してくれました。マキ(潅木林)に守られた海抜1162メートルのSerra-Cimagnaに湧き出し、自然のフィルターとして最高な花崗岩で濾過されたこの水は、ミネラル感はそれほど強くなくとても飲みやすく喉を潤してくれます。コルシカ島は水が美味しい、と言われていることを思い出しました。アラン・デュカスをはじめ、世界の有名なレストランでメニューリストに掲載されているガス入りのミネラルウォーター "OREZZA"(オレッツァ)もコルシカ島の水。「水が合わない」という表現は、新しい土地の風土になじめない、という意味で使われますが、水を美味しく感じるとそのその旅先は自分に合う気がします。 コルシカ島の旅 その1で書いたサプライズ、というのはこちらでした。ヤシの木とヨットハーバーを眺めながらシャルル・ボナパルト通りをドライブして着いたのはCFCのアジャクシオ駅。この日の行き先であるコルテ(コルシカ島 中央部)まで車で向かう予定でしたが、険しい山岳地帯を抜けていく電車の旅もぜひしてみたい、という順子さんのリクエストをガイドのアンリさんが急遽叶えてくださったのです。こういう時、ひとり旅じゃないっていいな、と思います。一緒にいる誰かの願いや提案で、旅がさらにたのしくステキになります。ひとり旅ももちろん良いのですが、何でしょう、自分が大人になったのでしょうか(笑)。
「あと5分で出発です」という声に2両編成の電車に急いで乗り込み、ほぼ観光客で満席の1両目で、私は女子大生風の地元の方の隣に。車両内部はイタリアで乗った電車と似たような作りですが、運転手さんは客用通路から運転席へ。出発して程なく検札があり、後ろの車両から前の車両へときた車掌さんはそのまま運転席へ。また後ろへと戻るときに鍵をしっかり閉めなかったせいか、カーブに差し掛かるとドアが開いて運転手さんの背中と、石飛礫が当たったのでしょうか、小さな穴から蜘蛛の巣状にヒビが入っているフロントガラスが見えます。それが銃弾痕のように思えてしまうのは、連想ゲームのように浮かんでくるフランス語のテキストに出てきた"vendetta"(コルシカ風の家族ぐるみの仇討、復讐)という言葉のせいかしら。
各駅停車で約2時間の運賃は一人、€11,50。グラースのAki君が作ってくれた旅のお守り猫さんと同じイエローの素敵な切符。"Chemins de fer de la Corse" コルシカ鉄道、という文字が新鮮で、ワクワクします。 車窓からは、山、山、山、と姿の異なる山の姿が続きます。
緑の深い山になってきた…
と思ったら目的地のコルテに到着。
ガイドのアンリさんは車で先に到着されていました。昔の首都のあった場所に向かう前に、車がすれ違えないほどの狭い道を通ってランチを戴くレストランへと案内してもらいます。頂いた、お肉料理に合う美味しい赤ワインはこちら。
コルシカ産チーズ入りのベニエ(=甘くないドーナツ風の揚げ物)、ポワロ(=ネギ)入りのベニエ、シャルキュトリの盛り合わせ、カブリ(=子ヤギ)のオリジナルソース、サラダなどなど。ツーリストには嬉しい方法、パルタジェ(=シェア)して味わうことが出来ます。全て美味しくて感激。フランスの友人が「コルシカのシャルキュトリ(=豚肉加工品、ハム・ソーセージ類)は美味しいの!」と力説するのがわかります。コルシカ島の自然に育った栗を食べている豚さんたちのお肉ですものね。
※ちなみに、バターはパン用です。
奥が、カブリ(=子ヤギ)のオリジナルソースのパスタ。グラースに著名なパフューマーが多く住むCabris(カブリ)という町があります。音だけ聞くと同じ。これからCabris(カブリ)のことを話すときは子ヤギの姿が浮かんできそう。
コルシカ島の旧家のご出身のアンリさんの苗字は de Rocca=Serra で、意味をお伺いしたらRoccaはroche、岩,岩石で、Serra は森、です、ということでした(で、de はもちろん名門貴族の証)。このレストランを囲む風景は、まさに岩石と森。
「美味しい、美味しい」と喜んでいる私たちにレストランのマダムがディジェスティフを持ってきてくださいました。赤いグラスはミルト(=ギンバイカ)の果実や葉を用いて作る香りの良い甘いリキュール、ミルト。すっかり満足して、また素敵な場所へと向かいます。
コルシカ島の旅 その3を続けて書きます。
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