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執筆者の写真地引 由美 Yumi JIBIKI

香りの器 高砂コレクション 展 で

 香りの器 高砂コレクション 展 を観覧してきました。



 新橋駅からほど近い、パナソニック汐留美術館での開催です。



 古代オリエントの香油壺から、フランス貴族が愛用した凝った意匠の携帯用香水瓶、旅に携行したネセセール ドゥ ヴォワイヤージュ や、バカラ、ラリック製のガラスの煌めきなど、ゆっくりと鑑賞できます。また、香道で使用される香炉や香合、お道具一式や香木の展示も。どれもとても丁寧に磨かれ、作品として美術館に展示されるに相応しい存在感があります。



 年齢のせいか、日本陶器の香水瓶に目が引き寄せられました。



 このタイプの陶器の香水瓶は可愛らしくて、いつも心をくすぐられます。中の液体が見えないのは残念ですが。



 若い頃、パリのルーブル宮にある装飾芸術美術館でアンティークの香水瓶を夢中になって眺めたことを思い出します。そこに並んでいる香水瓶たちはそんなにピカピカに磨かれてもいなかったし、埃でくすんでいることも。それが逆に「昨日まで〇〇家の棚にありました」という雰囲気を感じさせて。ありふれているとまでは言わないけれど、さすがフランス、古い香水瓶も身近なものなんだわ、と思ったものでした。

 この美術館には何時間いたでしょう。少しヒールのある靴が辛くなって、最上階に着く頃には人のいない展示室では裸足になって靴を手にぶら下げてケースの中を観ていました。続いて部屋に入って来た人に「あら(笑)」という感じで見られたりしたけれど、照れ笑いしつつ心の中で「失礼」と謝りながら。


 香水は日々の生活の中で使用するもの、という観点から、香水瓶の展覧会には室内装飾の展示が併設されることも多いです。今回の香りの器 高砂コレクション 展 の東京会場でも、香りが感じられるような貴婦人の肖像画や、アール・デコのデザインが取り入れられた美しい椅子なども展示されています。


 パナソニック汐留美術館はどこも美しく手入れがされていて、思いがけず目にしたこのお花も素晴らしかったです。展示会場は、ハイヒールで行っても十分堪能できる規模ですので、ぜひおしゃれして出かけられることをお勧めします。会期は3月21日(日)まで。  遠方などでお出かけになれない方のために嬉しい YouTubeでオンラインギャラリートーク「展覧会のツボ」(事前登録不要、無料配信)も行われます。 ■ 1月24日(日)15:00~  https://youtu.be/P2xUp1M-_oc

■ 1月26日(火)19:00~  https://youtu.be/1_ZkMtwGUHI


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