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  • 執筆者の写真地引 由美 Yumi JIBIKI

心とろかす伽羅の香り

特別な方から特別な方に託された特別なお香を頂戴しました(詳細は書けないのです)。4月もちょうど半ばとなり一区切りついたので、今朝焚いてみました。私は煙で喉が刺激されて辛いことがあるので、まずは風通しの良い洋室の窓辺で火をつけてみました。すると生きものの様に蠢く香煙から生まれる香り。こ、これは…極上の伽羅の香り。



急いで香炉を和室に運びました。空気の動かない部屋でじっと香りを感じます。澄み切った伽羅の香りだけ。お線香など、お香を形にするために加えるいわばツナギの役目の椨粉(たぶこ)はまったく入っていない様な(実際に入っていないのかもしれません)。



香道では香りは嗅ぐ、と言わず聞く、と言いますよね。「香木は尋ねると自身の物語を話してくれます」と、香道志野流の若宗匠も度々おっしゃっています。もちろん私はそのような境地にはまったく達していませんが、今お香に姿を変えているこの伽羅も、芽を出して木となって風雨や虫害の厳しい条件に耐えて香木となった、その物語はきっとたいそうロマンティックなものでなかったかと、想像してしまいます。


身体と心が香りで満たされました。今、ケガをしている私は気が涸れている状態で、それは民俗学的にいうところの穢れ、それをすっかり祓ってくれる様な伽羅の香り。

フレグランスでいうところのウードにはオイリーなテイストを感じてしまうことが多いですが、このお香はスッと突き抜ける光線の様な香りでした。燃えた後の灰はどうかしら、と今また香炉を確かめに行ってみたら、濃厚な黒蜜の様な香りです。今宵は寝る前にこの灰を手首に擦り付けてみようかしら。


貴重な宝物をありがとうございました。

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