『リーズの結婚』を観て
- 地引 由美 Yumi JIBIKI
- 2021年7月14日
- 読了時間: 3分

この演目の原題はフランス語で " La fille mal gardée " 躾の悪い娘、といった感じでしょうか。初演は18世紀末で、現代のアシュトン版『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』は英国ロイヤルバレエ団と牧阿佐美バレヱ団にしか上演権がないとのこと。私は舞台を鑑賞するのは今回が初めてです。

劇場の公式サイトで3階のレストランは営業中と確認して早めに来たのに、貸切営業でランチ出来ず。館内を散策。

そのお陰で『初台アートロフト』ファンタジー展の作品を間近で鑑賞することが出来ました。

開場時間近くなり、1階のメインエントランスの通路へと進みます。

ここにも展示が。こどものためのオペラ劇場『ジークフリートの冒険』の舞台衣装です。

眠れる森の美女の森の妖精のチュチュ。マネキンの軸足に体重が乗り切っていないのが気になる、と口々に言い合うのがバレエファン(笑)

チケットのモギリはセルフで。手指アルコール消毒も徹底されています。こちらのバレエ団では、オールカラーのプログラムを無料で頂けるのですね。バスケットから自分で手に取ります。 劇場内は写真撮影禁止でしたので、開演前にさんざめく内部の様子や、シートに置かれたエアウィーブのクッションなどは記憶の中だけに。着席して『リーズの結婚』歴代キャスト一覧表を見ると、大畠律子さんをはじめ、懐かしい名前がたくさん。昔のダンスマガジンの写真が思い出されます。ネットで動画、という手段がなかったので一瞬を切り取った舞台写真(しばしばモノクロでした)を食い入るように眺めたものでした。 『リーズの結婚』、素晴らしかった。昨今の難しい状況で疲れた心を癒すような、長閑な田園で物語は繰り広げられます。ダンサーのテクニックはもちろんのこと、ほのぼの、だけじゃないストーリー、可愛らしい、だけじゃない主人公。リボンのパ ドゥ ドゥや木靴の踊り、メイポールのダンスに最後の演出まで、全てが魅力的でした。 実は最初の雄鶏と雌鳥の踊りで、もう、涙が出ました。下手から二人目の雌鳥さんの6番のタン ルヴェの美しい爪先を見て。この一瞬を最大限に美しく踊ろうという意志とか、舞台に上がれる喜びとか、繰り返したお稽古での努力とかが、黄色い爪先から迫ってきたのです。どなただったんだろう。頭に雌鳥のかぶり物をしていてお顔がわからないので、プログラムからも判別不能。残念。

幕間の休憩時間もドリンク販売はペットボトル飲料だけだったり、皆さまなんとなく距離をとって佇んでみたり。まだ緊張感はありますが、来て観て、本当に良かった。
Comments