• 地引 由美 Yumi JIBIKI

萬狂言 新春公演 2021年

 緊急事態宣言下では有りますが(文字にすると一層のこと非常時感が増しますね)初春を寿ぐ舞台を鑑賞しに、国立能楽堂で開催された 萬狂言 新春公演 へ。



 新国立競技場を横目で見ながら歩く、快晴の午後。  九世野村万蔵様には2018年11月25日(日)『La causette parfumée ラ コゼット パフュメ – 香りのおしゃべり会 』第19回 にゲスト講師としてお越し頂きました。「狂言には『香り』という言葉は出てきません。『におい』は出てきますね」とのご説明のあと、酒の美味しさや「におい」まで表現するような動きを実際に行なってくださいましたのですが、つと立たれた瞬間に空間が変わったとように感じました。日仏会館のカンファレンスルームが、喜びの場になったようなことを思い出しつつ、歩きます。



 オリンピックの為に広々と整えられた道路。気持ちよさそうに、ジョギングをする人の姿も。



 時間に余裕を持って出てきたので、開場まで時間がありカフェで一休み。テラスでペリエを飲んでいると南仏にいるような感覚になります。またあの眩い陽射しの下でおしゃべりしたい。今年はローズの季節には行くことが叶うかしら?



 国立能楽堂に着きました。


 「まずアルコールで手指消毒して頂き、検温をしてご入場頂きます。アルコールで手が濡れますので、切符を濡らさないようにポケットなどに入れておいてくださいませ」という開場前のご案内の丁寧さに感心しつつ、間を空けて入場します。


 ベルが鳴り、いよいよ始まりました。まず野村万蔵様のご挨拶を聴きながら昨年を振り返ります。野村様にとって2020年を表す漢字は『継』とのこと。舞台が次々と中止になる中でも、未来の為に芸を継いでいくことを考えて日々過ごしていらしたそうです。「皆で稽古に打ち込みながら、新しいことも、これは息子にやらせました(笑)」とおっしゃっていたようにYouTubeの 萬狂言チャンネル もスタートされました。9分の動画に撮影7時間かけた回もあるそうです。  そしてこの日は野村萬氏の91歳のお誕生日でした。ご挨拶のお声にお歳は全く感じられません。会場からは大きな拍手。




 演目は  舞囃子 鮒

 末広かり

 孫聟  木六駄


 『鮒』と『末広かり』では、観客皆が祝われました。なんでしょう、見ているうちに湧き上がってくる楽しく嬉しくなる感覚。

 孫聟(まごむこ)。観る人によって受け取り方は様々とのことですが、私はつい差し出てしまう老人の姿に亡き義母の姿が重なり、ああ、こうだったわと懐かしく愛おしく、少し涙目になりながら笑いました。  そして『木六駄』。大雪の峠道を荷物を積んだ12匹の牛を追いながら進んで行く太郎冠者。狭い道に突っ込んでいく牛、崖や谷に落ちそうになる牛を追いかけ守り、爪を整えようとすれば蹴られそうになり、止まれといえば行きたがる…12匹の牛と雪の中で悪戦苦闘する姿に、これからの一年12ヶ月、色々あっても最後に美味しいお酒を頂いて人から叱られたり笑われていたりしたらそれでいいかな、と気が早くもそう思いました。何かに困ったら「ちょー、ちょー」と自分を励まそう。


 この日は足首にほんの少しだけ、ミルをつけて行きました。

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